実体顕微鏡とマイクロスコープにはそれぞれ、メリット、デメリットがあります。
それぞれの特徴を理解して使い分ける必要があります。
本来、実体顕微鏡も英語で表記すれば、マイクロスコープとなります。
業界によっては、顕微鏡をマイクロスコープと呼ぶ場合もありますが、今回は単眼のデジタルマイクロスコープをマイクロスコープとしてご説明します。
目次
1. 特徴の違い
2. 倍率の違い
3. 主な用途の違い
1. 特徴の違い
・実体顕微鏡の特徴
大きな違いは、実体顕微鏡は2光路設計になっていることです。
右と左で独立した光路となります。
右と左で視野も異なります。
下記のコインを立てて、実体顕微鏡で観察すると
この異なった視野を観察者が一つの映像として観察します。
人間の目が2つあるのと同じです。
これによるメリットは、対象物が立体的に見えます。
遠近感もわかるので、加工作業をされる方は実体顕微鏡が必要です。
デメリットとして、使う時に少しコツが必要です。
(初めて使う方は、映像が1つにならず、戸惑うと思います。)
3眼式の実体顕微鏡の場合、カメラポートは左右どちらかの映像となります。
(映像も斜視となります。)
デメリットとしては、高倍率の観察ができません。
(製造時に左右の微妙な調整が必要な為です。)
倍率は比較的低倍率となります。ズーム比もそれ程大きくありません。
汎用的なもので、10~50倍程度、高倍率タイプでも100倍程度が実体顕微鏡の限界となります。
また、長時間の作業では作業者のストレスが大きくなります。
目幅調整、視度調整 等、観察者個人ごとの調整が必要です。
左右で視野が異なるので、正確な位置決め、2次元の寸法測定には不向きです。
上記の用途で顕微鏡を使う場合は、単眼顕微鏡を使います。
・マイクロスコープの特徴
基本的には単眼レンズとなります。
人間が片目で物を視る時と同じで、遠近感はわかりにくいという欠点があります。
上記のコインであれば、レンズ中心部では下記のように見えます。
豊富なレンズから選べるので、低倍率から高倍率(2000倍超えまで)まで対応できます。
また、モニタ観察になるので、初めての方でも簡単に観察でき、疲れにくく、長時間の観察(検査)に向いています。
真上からの観察(直視)なので、位置決めや寸法測定にも向いています。
PCとの親和性もよく、映像の保存・画像処理・焦点合成 等 様々なソフトウエアが使えます。
2. 倍率の違い
実体顕微鏡とマイクロスコープの倍率は単純に比較ができません。
実体顕微鏡は目で確認するのに対して、マイクロスコープはモニタで観察します。
その時にモニタ倍率を含んでしまいます。
倍率での単純比較はできませんが、観察視野で比較すると単純な比較ができます。
例えば、
顕微鏡の観察視野は視野数で計算します。
視野数20の顕微鏡の場合、10倍時に直径20mmの視野になります。
上記の実態顕微鏡と同じ視野を観察したい場合、下記のマイクロスコープであれば20倍になります。
(実体顕微鏡では10倍になります。)
また、マイクロスコープの場合は、モニタサイズで変わってしまいます。
詳細は、下記の記事をご覧ください。
マイクロスコープの倍率と顕微鏡の倍率の違い
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3. 主な用途の違い
・実体顕微鏡向きの用途
取付け、加工、立体物の検査・観察 等
・マイクロスコープ向きの用途
外観検査、正確な位置決め(芯出し 等)、凹凸の無い寸法測定 等
4. 松電舎のマイクロスコープ
松電舎ではお客様の用途に合わせ、USBマイクロスコープ、4Kマイクロスコープ、ハイビジョンマイクロスコープなどを取り揃えております。用途、倍率、接続方式などに合わせ、各種お選びいただけます。
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